ECサイトの運営では、「バナーや画像は完成しているのに、なかなかサイトへ掲載されない」ということがあります。
原因は、制作物の不足とは限りません。掲載するページ、クリック後のリンク先、PCとスマートフォンの違い、担当者、公開後の確認方法が決まっていないことで、実装が止まっている場合があります。
この記事では、バナーを作って終わらせず、掲載・確認・改善まで進めるための設計手順を解説します。すでに画像が揃っている場合も、掲載先、リンク先、担当者、計測方法を順番に確認することで、止まっている作業を整理しやすくなります。
バナーを増やしてもECサイトの改善が進まない理由
バナーは単なる画像ではありません。利用者に情報を伝え、次に見るページへ移動してもらうための導線です。
ところが、制作時に次の項目が決まっていないと、画像が完成しても掲載作業へ進めません。
- どのページに掲載するのか
- 誰に何を伝えるのか
- クリック後にどのページへ移動してもらうのか
- PCとスマートフォンで同じ画像を使えるのか
- 自社EC、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどで共通利用できるのか
- 誰が掲載し、誰が公開後に確認するのか
- 何を見て効果を判断するのか
「とりあえず画像を作る」という進め方では、これらの判断が掲載担当者へ持ち越されます。その結果、リンク先の確認や画像の作り直しが発生し、公開が遅れやすくなります。
バナーを作る前に決める3つのこと
1. 掲載先
最初に、バナーをどこへ掲載するのかを決めます。
トップページ、カテゴリーページ、商品ページ、特集記事では、訪問者の目的が異なります。同じ画像をすべてのページへ掲載するのではなく、各ページで利用者が次に知りたい情報を考えることが重要です。
掲載先は「トップページ」のような名称だけでなく、可能であれば実際のURLまで管理します。URLが未確定の場合は「ページ制作待ち」として分けておくと、画像制作とページ制作の関係が分かりやすくなります。
2. リンク先
次に、クリック後の移動先を決めます。
たとえば、商品の選び方を伝えるバナーであれば、単一の商品ページよりも比較記事やカテゴリーページが適していることがあります。一方、特定商品の特徴を伝えるバナーなら、その商品の詳細ページへ直接つなぐ方が自然です。
適切なリンク先がまだ存在しない場合は、無理にバナーを掲載するのではなく、必要なページやコンテンツの制作課題として管理します。
3. バナーの役割
バナーごとに「何をしてもらうための画像なのか」を一文で表します。
例として、次のような役割があります。
- 商品を知ってもらう
- 商品を比較してもらう
- 選び方を理解してもらう
- 関連商品を見てもらう
- キャンペーン内容を確認してもらう
- 問い合わせや資料請求へ進んでもらう
役割が複数ある場合は、ページの主目的と主CTAを絞ります。情報を詰め込みすぎると、利用者が次に何をすればよいか分かりにくくなります。
画像資産管理表に入れたい項目
画像ファイルをフォルダーへ保存するだけでは、運用情報が不足します。最低限、次の項目を管理表へ記録します。
| 管理項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 画像名 | ファイル名と管理上の名称 |
| 役割 | 誰に何を伝え、何をしてもらうか |
| 掲載先URL | 画像を表示するページ |
| リンク先URL | クリック後の移動先 |
| 端末差分 | PC・スマートフォン・アプリの違い |
| チャネル | 自社EC・楽天・Yahoo!・Amazonなど |
| 担当者 | 制作・掲載・確認の担当 |
| 状態 | 制作中・確認中・公開済みなど |
| 確認日 | 表示とリンクを確認した日 |
| 計測方法 | クリックや遷移を確認する方法 |
この表は制作物の一覧ではなく、「掲載して検証するまでの進行管理表」として使います。
PC・スマートフォン・モールごとの差分を確認する
同じ画像でも、掲載環境によって必要な対応が異なります。
PCでは問題なく見えても、スマートフォンでは文字が小さくなることがあります。アプリでは掲載枠やリンクの挙動がブラウザと異なる場合もあります。
また、自社EC、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonでは、画像サイズ、HTML、外部リンク、掲載できる場所などの仕様が同じではありません。単純にコピーせず、実装時点の公式仕様と管理画面を確認してください。
最初から全ページ・全モールへ展開するのではなく、一つのカテゴリーや商品で次の項目を確認してから横展開すると、手戻りを抑えやすくなります。
- PC表示
- スマートフォン表示
- アプリ表示
- リンク切れ
- リンク先の内容
- 掲載位置
- 計測方法
公開後に確認する指標
バナーを公開しただけでは、役割を果たしているか判断できません。公開後は、目的に合わせて次の指標を確認します。
- リンク切れがないか
- バナーがクリックされているか
- 想定したページへ到達しているか
- 商品ページや関連ページへ回遊しているか
- 更新や差し替えにどれくらい工数がかかっているか
最初から売上だけで判断せず、表示、クリック、ページ遷移、更新工数を順番に確認すると、どこを改善すべきか見つけやすくなります。
自社サイト内の回遊計測では、UTMパラメータを安易に付けると流入元の判定へ影響することがあります。サイト内部のクリックはGA4のイベントなどで計測し、外部施策からの流入にUTMを使う場合は命名規則を決めて運用します。
手法だけでなく運用体制に合わせて設計する
バナー管理表を作るだけでは、運用は定着しません。
制作、掲載、確認、改善を誰が担当するのか、いつ確認するのか、判断に必要な情報をどこへ残すのかを決める必要があります。担当人数、更新頻度、利用しているECプラットフォーム、社内の承認手順によって、適切な管理方法は変わります。
他社の成功手法をそのまま当てはめるのではなく、自社の運営体制で無理なく続けられる形へ調整することが重要です。
運用方法を決める際は、理想的な手順だけでなく、現在の担当人数、承認方法、更新頻度で無理なく続けられるかを確認してください。必要に応じて、制作・掲載・確認の一部から始め、運営状況に合わせて対象を広げる方法も有効です。
まとめ
ECサイトのバナーは、画像を作ること自体が目的ではありません。
制作前に掲載先、リンク先、役割を決め、端末やチャネルの差分、担当者、公開後の計測方法まで管理することで、掲載作業を進めやすくなります。
まずは一つのページ・商品・カテゴリーを対象に、次の項目を確認してみてください。
- 誰に何を伝えるバナーか
- どこへ掲載するか
- どこへリンクするか
- PC・スマートフォン・各モールで何が違うか
- 誰が掲載し、いつ確認するか
- 公開後に何を計測するか
画像やバナーは揃っているのにサイト改善が進まない場合は、掲載先・リンク先・担当・計測方法のどこで止まっているかを確認してみてください。MO-LIBでは、現在の体制と作業状況を伺い、実際の制作・掲載・確認まで進められる販促支援をご提案します。
